matsunaeのブログ

親鸞を書きたい。随筆として書いたら良いのか?小説として書いたら良いのか考慮中

2021年9月のブログ記事

  • 謎の国 楼蘭(八)ロブ・ノール

     ……翌朝、陳は南方の窪みを越え丘の上から、通行しやすい道を見つけるため辺りを偵察していた。東方の彼方からは、燃え立つような太陽が昇り、燎原の炎のようだ。北の方は広々として平坦な土地だが、南の方には、かなり高い丘が見える。陳は、キャンプへ帰ると出発を命じた。  キャンプ地を出発し、忍耐も尽きるころ... 続きをみる

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  • 謎の国 楼蘭(七)タクラマカン砂漠

     先頭を歩くキャラバンリーダーに続き、ラクダの鎖のような長い列が一列になって進み始めた。出発してしばらくは、タクラマカン砂漠を見つめながら、タマリスクの茂みの間を 進んだ。先ほどまで荒れ狂っていたロバも、列を乱すことなく、おとなしく従っていた。  点々として生えていたタマリスクの茂みが、しだいにま... 続きをみる

  • 謎の国 楼蘭(六)東に向かって

     旅立ちの朝、人々は「お母さん、お母さん」と呼び続ける子供を叱りながら手を引っ張った。子供たちは、故郷を離れるときも、遠い旅をするときも、母と一緒だと思っていたのに、今はからずも引き分けられて、悲しさばかりが胸に溢れてくる様子だった。  総勢で一千名を上回る人数である。旅立ちの日までに、町で手に入... 続きをみる

  • 謎の国 楼蘭(五)アーリア人の旅

     地上から姿を消してしまった砂漠の国[楼蘭]には、いかなる人々が暮らしていたのか? 現在の西域地方は、大部分が中国の新疆(しんきょう)に包含されているが、当時は中国の西北部に当たる大砂漠地帯で、いわゆる異民族の住む異域であった。  楼蘭を制する者は、シルクロードを制する。とまで言われていた時代、漢... 続きをみる